かつて天然の爆弾発言を相殺するためだけに天然のふりをしていた男の話
あれは今から3~4年前のことだった
私が大阪で大学生をやっていた頃の話。
天然の爆弾発言によって訪れる沈黙をーあの凍てつくような空気を天然発言を被せることによって相殺することに魂を注いだ男がいた。
そう、私です。
どうにも周りが天然ばかりで苦労することが多い人生だが、彼らのことは嫌いじゃない。
たまに爆弾発言で空気が凍ることがあるだけでいい人ばかりだ。
なら、爆弾発言があってもフォローさえできれば空気は凍らない。何も問題ない。そう考えた私は天然発言に天然発言を重ねる秘儀「逆天然返し(さかてんねんがえし)」を生み出した。
そしてそのときは来た
サークルの皆で妙見山にBBQに行った時のこと。
おいしい食事を取りながら大いに会話も盛り上がり、非常に楽しい時間を過ごすなか、それは突然来た。
もはや何の話をしていたかは覚えていない。「そら食べるのと寝るのは人間の三大欲求やでなぁ!!」という発言の直後、「……もう一つ何やっけ?」の一言。
(来た……!!)
もちろん彼を除いてその場の全員が理解していたであろう。当然知っている。
性欲だ。
野郎だけなら性欲の話にシフトできたかもしれない。
だがサークルで来た、女の子もいる。
そして滅茶苦茶真面目なこのサークルで普段から下ネタで盛り上がるようなことはない。
性欲という言葉すら言うことがはばかられるであろう真面目さだ。
BBQに電車で来たというのに誰一人として飲酒をしないほど真面目なサークルだ。
普段から下ネタを言わないこの関係で、ましてや食事中に性欲というワードが出てしまえばその後の空気が冷えてしまう……今こそ「逆天然返し」のときではないか!!(この間1秒程度)
「……住む?あ、それ衣食住か」
決まった……!全員の強張った顔が一斉に解かれた。
あたりを包む歓声。山々に響く祝砲。
ああ、素晴らしきかな。
っていう武勇伝があるんですけど言い続けてたら可愛い女の子がこの情報をたよりに僕を探し出してくれたりしないかなという陽だまりの彼女脳。
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